研究紹介/コラム - 画像処理の基礎【前編】

画像処理の基礎【前編】

当社では社内教育にも力を入れており、毎年開催する講座には社員の誰でも参加ができ、その人の業務と両立して学べるようになっています。そのひとつに画像処理の実習講座があります。
深層学習教育において、画像処理は欠かせない要素となっています。画像処理は、コンピュータが視覚情報を処理するための技術であり、深層学習の基本的な理解を深める上で不可欠なスキルと言えるでしょう。
前編では講座の中でも特に重要なトピックに焦点を当て、その基本的な手法や演習等の概要について紹介していきます。

画像処理について

まず初めに、画像処理の概要について説明します。画像は通常、ピクセルと呼ばれる小さなドットの集まりで構成された行列として表現されます。
この行列はNumPy配列としても知られ、深層学習においても頻繁に使用されます。各ピクセルには色や明るさなどの情報が含まれ、カラー画像であればR(赤)、G(緑)、B(青)の3つの値で表現されますし、白黒画像であれば色の濃淡を表す1つの値のみを用います。
これらを適切に処理することで様々な情報を抽出できます。

画像処理の基本的な手法

画像処理にはさまざまな基本的な手法が存在します。例えば、グレースケールは画像を白黒に変換する手法であり、2値化は画像を二値(完全な白と黒)に変換します。
大津の方法を用いた2値化は、画像全体のヒストグラムを解析して最適な閾値を自動的に決定します。HSV変換は、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)の3つの要素に画像を変換し、RGB形式よりもカラーレベルの変更が容易になります。
目的によっては、画像の色数を減らして単純化する減色処理がありますし、画像のコントラストを調整してより鮮明な画像を得るためのヒストグラム均一化という手法もあります。モルフォロジー演算は画像の形状や構造を変更するための操作であり、膨張や収縮などが含まれます。

画像処理の演習

こうした基本的な手法を理解するためには、やはり演習が重要です。実際に手を動かして画像処理を行うことで、理論だけでは得られない実践的な知識を得ることができます。演習では、上記で紹介した手法を用いて、与えられた画像に対して処理を行い、その効果を確認することが期待されます。一例ですが、以下のような手法について理解し、実際の画像の変化について確認することができます。

 

ヒストグラム均一化:画像のコントラストを向上させ、より自然な視覚効果を生む手法です。暗い領域と明るい領域の差を縮小させ、画像全体の情報をより均等に分布させます。

モルフォロジー演算:画像の形状を変更するための操作で、膨張や収縮などがあります。物体の境界を強調するのに有用です。

画像の畳み込み:畳み込みニューラルネットワーク(CNN)で広く使用される手法で、画像フィルターを用いて画像の特徴を抽出します。

エッジ検出:画像中の物体のエッジを検出する手法で、明るい部分と暗い部分の境界となるエッジの強調や検出を行います。Sobelフィルタ、ラプラシアンフィルタ、Canny法などの手法があります。

 

これらの手法を理解し、実践することで、深層学習における画像処理の基礎について学びます。このような知識は、機械学習モデルの開発や画像認識の分野で重要な役割を果たします。深層学習教育においては、理論と実践を組み合わせたアプローチが成功への近道となります。

次回

今回は画像処理の概要についてお伝えしました。次回はニューラルネットワークについてお伝えします。

今回は簡単ではありますが、ChatGPTの活用事例としてLangChainによるRAGの実装方法についてご紹介しました。当社では最先端技術の研究・調査を行っており、最新の調査結果を随時公開していきます。

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