キャッシュレス決済とカードローン動向
キャッシュレス決済比率
経済産業省が我が国の2023年のキャッシュレス決済比率について算出・公表しました。
経済産業省ニュースリリース-2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました
これによりますと、2023年のキャッシュレス決済比率は、39.3%にまで伸長したとのことです。
キャッシュレス決済は、慣れてしまえば、スマホやクレジットカードだけで支払いが完了するので、とっても便利ですよね。
我が国のキャッシュレス決済額及び比率の推移(2023年)
出所:「我が国のキャッシュレス決済額及び比率の推移(2023年)」(経済産業省)をもとにFEG作成
そもそも、キャッシュレス決済比率とは、経済産業省の定義によりますと、クレジットカード支払額、デビットカード支払額、電子マネー支払額、コード決済支払額、の合計を民間最終消費支出で割った割合としています。
※各項目の定義詳細は経済産業省HPを参照
コード決済が大きく伸長
2023年の内訳を確認すると、クレジットカードが83.5%(105.7兆円)、デビットカードが2.9%(3.7兆円)、電子マネーが5.1%(6.4兆円)、コード決済が8.6%(10.9兆円)であり、コード決済が2番目に多い決済手段にまで成長しています。
やはり、使い勝手の良さやポイント還元の多さからコード決済を利用する消費者が増えているということなんでしょう。
コード決済には、多くの消費者がクレジットカードを連携させて、裏側ではクレジットカードで支払っているということが考えられます。
そのために少し視点を変えて、クレジットカードやカードローンとの残高の動きを観察してみます。
残高推移とその伸び率
キャッシュレス決済に加え、個人信用情報機関である株式会社シー・アイ・シー(本社:東京都新宿区西新宿一丁目23-7 新宿ファーストウエスト15階、以下、CIC)が公表している割賦残債額の内の包括クレジット残債額[以下、包括(CIC)]、及び、個別クレジット残債額[以下、個別(CIC)]、更に、消費者金融系カードローン、銀行系カードローンも含めて残高推移を眺めてみます。
割賦残債額
リボルビング払い、分割払いおよび利用から返済までが2ヶ月を超える1回払いの残債額。
包括クレジット残債額[以下、包括(CIC)]
利用限度額の範囲内で何度でも、商品等を購入することができる利用法で、この残債額をCICで集計したもの。
例えば、テレビと冷蔵庫をクレジットカードで購入し、合計額について毎月5万円ずつ返済する、といった場合の残債額です。
いわゆるリボ払いの残債額に相当します。
個別クレジット残債額[以下、個別(CIC)]
商品等を購入するたびに審査を受けて契約した額の残債額をCICで集計したもの。
例えば、車を購入する際にクレジット会社と与信契約を締結し毎月10万円ずつ返済する、といった場合の残債額です。
コロナ禍の影響があった2020年をボトムとして、カードローンを除き各決済残高は回復・伸長しています。
2023年度の残高伸び率では、コード決済(+37%)、クレジット(+13%)、包括(CIC)(+10%)が上位となる一方で、銀行系カードローン(+2%)は伸び悩んでいます。
また、包括(CIC)は、2020年をボトムに継続して伸び率が上昇しており、やや意外な感じのする動きです。
決済残高推移(12月末)
出所:FEG作成
決済残高伸び率(2018年基準)
出所:FEG作成
(出典)
※クレジット、クレカキャッシング:日本クレジット協会 「日本のクレジット統計」
※包括(CIC)、個別(CIC):株式会社CIC「割賦販売統計データ」
※消費者系カードローン:金融庁「貸金業関係資料集」(年度末残高)
※銀行系カードローン:日本銀行 「貸出先別貸出金 (消費財・サービス購入資金/カードローン等/個人向け貸出金/銀行勘定、信託勘定、海外店勘定の合計/国内銀行)」
クレジットと包括(CIC)
クレジット残高と包括(CIC)に焦点を当て残高の伸び率を比較しますと、コロナ禍以降、包括(CIC)は残高が伸び続けていますが、長期トレンドで見ると、残高伸び率は以前の伸び率水準に戻っただけのようにもみえます。
一方、包括(CIC)のクレジット残高に占める割合[包括(CIC)比率]は、PayPayがスタートした2018年以降一貫して低下しています。
やはり、クレジット残高の伸長は、オンラインショッピングの普及やコード決済の増加による影響が大きいとみられ、包括(CIC)よりもその伸長が目覚ましい状態です。
そして、クレジット残高よりも伸長の目覚ましいコード決済が、今後も注目すべき決済手段と言えます。
クレジットおよび包括(CIC)の残高伸び率(長期)
出所:FEG作成
コード決済を睨んだ銀行系カードローン施策
本記事では、コード決済の近年の伸長について確認しました。
コード決済額は、その利便性やポイント還元の多さから今後とも増加すると考えられ、銀行業においては、コード決済額の成長に如何に絡んでいくか、という事が重要と思われます。
そのために、コード決済のお客様を取り込むためには、先ずはチャージする銀行として選択され ………………………
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